太陽光発電と確定申告
◆◆太陽光発電と余剰電力買取制度 2009年の余剰電力買取制度の開始から、2010年度には前年比52.4%増の21.8万件と大きく拡大した太陽光発電。昨年は東日本大震災をきっかけに導入を考えた方も多いのではないでしょうか。 余剰電力買取制度は、太陽光発電により生産された電気が自宅等で使う電気の量を上回った場合、その上回る分の電力(=余剰電力)を10年間、電力会社に売ることができる制度です。電力会社に対して電気を売り渡すことを売電と言い、余剰電力の売電収入は所得計算上の収入金額になります。
◆◆売電収入と所得の分類 売電により得られた収入は所得計算の際、どのような所得に分類されるでしょうか。 たとえば、給与所得者が自宅に太陽光発電設備を設置した場合はどうでしょう。一ヶ所の会社に勤め、給与所得以外の所得がないごく一般的なサラリーマンが太陽光発電設備を自宅に設置し、家事用資産として使用しその余剰電力を売却しているような場合であれば、雑所得に該当します。 この場合、給与の総額が2000万円以下で毎月給料やボーナスから所得税が源泉徴収され年末調整を行っていれば確定申告は不要ですが、売電による雑所得が20万円を超えた場合には確定申告の必要があります。しかし、一般家庭の平均的な1日あたりの余剰電力は約7kWhといわれており、経済産業省が発表した平成23年度の電気買取価格は住宅用で42円/kWhとなっていますので、売電による平均収入は単純計算で年間107,310円です。しかし、この収入額がそのまま雑所得の金額になるのではなく、ここから減価償却費や修繕費などの必要経費を引くため、売電のみで雑所得が20万円を超えることは極めて稀だといえます。 売電により得られた所得は、すべて雑所得に分類されるわけではありません。同じように自宅へ太陽光発電設備を設置した場合であっても、自営業者で自宅兼店舗として利用している方や、不動産賃貸業を営む方が賃貸アパートに設置した場合など、その人の所得条件によっては事業所得や不動産所得に分類されるケースもあります。