子ども手当の功罪
・子ども手当法案が衆議院を通過し、年度内に成立する見通しとなりました。
・民主党がマニュフェストで掲げたように、これは子どもの養育を社会全体で支援するための重点施策。そして、その財源確保のために扶養控除が廃止されようとしています(23歳から69歳までの成年扶養控除は廃止が見送られる予定ですが、今後は扶養控除や配偶者控除の見直しの可能性があります)。
・しかし、この扶養控除が廃止されることの影響は、けっして小さくありません。給与収入金額が変わらない場合でも、所得税率が10%の家庭では、扶養控除が使えなくなる子ども1人につき、1ヶ月約3,000円の増税となります。
・また、住民税の扶養控除は2012年6月から廃止になる予定で、これを含めると、所得税、住民税ともに税率が10%の家庭では、1ヶ月約6,000円の増税になってしまいます。
・2011年度には、子ども手当の支給額が月26,000円にアップされても、増税幅もあわせて増えることになるのです。
・現行の所得控除制度では、低所得者よりも高所得者のほうが税金の軽減額が大きくなります。所得再分配機能の回復等の観点から、政府は給与所得控除や税率構造など抜本的な所得税制度改革にも取り組む方針です。
・また、子ども手当の導入によって、税金と連動して増えてしまう出費もあります。
・たとえば、所得税が上がると、保育園児のいる家庭では保育料が上がることが予想されます。
・さらに、住民税に連動して、東京都や愛知県などで国民健康保険に加入している家庭では、国民健康保険料が上がる可能性もあります。
・子ども手当が導入されることで、家計の出費内容が変化してしまうので、いちがいに手放しで喜べるわけでもありません。