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資本と利益の峻別


・旧商法時代には「利益準備金の資本組入れ」「利益の資本組入れ」は容認されていました。

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・しかし、平成18年に現行の会社法に改正されてからは、会社計算規則によって、その他利益剰余金又は利益準備金を取崩して資本金に組入れることはできなくなりました。この取扱いは、会社法も会計基準と同様に「資本と利益の峻別」を遵守するという考えの下に定められたものです。

・しかし今般「会社法施行規則」「会社計算規則」の一部改正によって、平成21年4月1日以後は「利益準備金やその他利益剰余金の取崩しによる資本組入れ」が可能となりました。

 

・国際的な会計基準とのコンバージェンス(収斂)を理由に、わずか3年余りで「利益と資本の峻別」という大原則をあっさり撤回してしまったのです

(1)条文の改正内容
・計算規則では、旧条文にあった括弧書き(資本準備金に限る)とか(その他資本剰余金に係る額に限る)とかいう文言が削除されたために、利益準備金及びその他利益剰余金も資本に組入れることが可能となりました。

(2)みなし配当課税
・税法では、この「利益の資本組入れ」に伴う「みなし配当課税」について、紆余曲折がありました。
・かつては「利益の資本組入れ」について「みなし配当課税」が行われていた時代もありました。その後、最低資本金制度の導入に伴う暫定措置によって、最低資本金(株式会社1000万円、有限会社300万円)までの「利益の資本組入れ」は非課税となりました。

・さらに平成13年の税制改正(企業組織再編税制)で、「株主等に対し資産の交付がない場合のみなし配当」については、その課税を廃止することとされました。当然ながら、その中には「利益積立金」の資本又は出資への組入れも含まれていました。

・その後現在まで、この「みなし配当」に対する課税上の取扱いに変更がありません。そのため、今回の会社計算規則改正による利益準備金等の資本組入れに関しても「みなし配当課税」はないということになります。