中小企業の事業承継
・信金中央金庫総合研究所が「第129回全国中小企業景気動向調査」を公表しています。同調査は、今年の9月上旬に全国各地の信用金庫営業店の調査員が聴取り調査を行い、1万3946社の中小企業から回答を得たものです。
・同調査によると、今年7月から9月の業況判断指数(良い-悪い)は▲15.8で、同4月から6月の▲14.6よりも1.2ポイント悪化しています。昨年10月から12月までは上昇傾向にあった中小企業の業況指数が、今年になってやや下降傾向になっているのは気になるところです。ただ、今年10月から12月の予想業況判断は▲9.2とやや改善傾向にあり、中小企業の業況は良く言えば「一進一退」、悪く言えば「足踏み状態」という状況が続いているようです。
・ところで、同調査において「中小企業の事業承継について」という特別調査が実施されています。このところ注目を集めている中小企業の事業承継について、中小企業自身の認識や対応状況などを調査したものです。
・それによると、事業承継を「最優先の経営問題」とする回答が20%、「経営問題のひとつ」とする回答が59.6%でした。約8割の中小企業が事業承継を経営問題として捉えていることになります。
・ところが、実際の対応状況を見ると、「対応できている」企業は24.7%で、「現在、対応を進めている」企業の23.5%と合わせて、対応が完了または進行している企業は半数に達していません。
・ただ、実際に対応が進められていない企業でも、「今後、対応予定」の企業が27.3%、「対応したいが方法が分からない」企業が2.8%と、対応に前向きな企業も約3割あり、まったく「対応していない」企業は約2割でした。
・少なくとも同調査においては、事業承継を経営問題として捉えている企業は多いものの、実際に対応できていない中小企業も多いという状況が明らかになったといえるでしょう。
・ちなみに、「事業承継しようとする際の問題」についての回答では、「事業の将来性」がもっとも多く65.5%、次いで「後継者の力量」54.3%、「取引先との信頼関係の維持」43.5%の順でした。