2011年度税制改正:消費税増税前に進む課税の適正化
2011年度改正(消費税)においては、 ①免税事業者の要件の見直し ②いわゆる「95%ルール」の見直し ③還付申告書に係る添付書類の提出義務化 ④消費税の不正受還付罪の未遂罪の創設 などの見直しが行われています。
①については、これまでは、前期に売上が急増しても、基準期間である前々期の課税売上高が1000万円以下であれば免税事業者になっていました。これが改正によって、上半期で課税売上高が1,000万円を超える場合は、その翌期から課税事業者となります(ただし、売上高に代えて支払給与の額で判定も可能です)。 こちらは、その年または事業年度が2013年1月以後に開始するものについて適用されます。
②については、非課税売上に対応する仕入については仕入税額控除を認めないのが原則ですが、売上のほとんど(95%以上)が課税売上の場合は、すべての仕入れについて仕入税額控除を認めるものです。 改正では、事業者の事務負担に配慮する観点から講じられている制度の趣旨に鑑み、この制度の対象者が、1年間の課税売上高が5億円以下の事業者に限定され、2012年4月以後に開始する事業年度から適用されます。
③については、これまで消費税の還付申告の際「仕入税額控除に関する明細書」の提出が任意であったため強制力がなく、提出を拒否する事業者もありました。しかし、不正還付防止のための内部審査を強化するために「仕入税額控除に関する明細書」の記載内容を充実させたうえで、その提出が法令で義務化されました。 こちらは2012年4月以後に提出する還付申告書について適用されます。
④については、消費税の不正受還付罪の未遂罪が創設されました。かねてより、架空仕入れを偽装するなどの方法で虚偽の還付申告を行う事例が発生していましたが、消費税法の不正受還付罪には未遂罪を処罰する規定がなく、実際に還付金の受領がない限り処罰されませんでした。 そこで、悪質な不正還付請求事案に対処するため、不正受還付の未遂罪<を創設されました。こちらは2011年8月30日以後にした違反行為についてすでに適用されています。
今後の税制改正の動向に注目です。