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事業承継税制の”親心”


・平成21年度税制改正で贈与税の納税猶予の特例が誕生しました。贈与税の負担が事業承継の障害になるのを回避するため導入されたもので、後継者が先代から会社(非上場)の株式等を全部または一定数以上取得して、その会社の経営を担っていくなら、その株式等(上限あり)にかかる贈与税の納税が猶予されるという特例です。
・同特例の適用を受けるには、会社の後継者、株式などを贈与する先代経営者それぞれに要件があります。

後継者は、
 ①会社の代表者
 ②先代経営者(贈与者)の親族
 ③20歳以上
 ④役員等に就任して3年以上経過
 ⑤後継者および後継者と同族関係等にある者で総議決権数の過半数を保有し、かつ筆頭株主であること
が主な要件です。

・いっぽう、先代経営者は、
 ①会社の代表者であった
 ②贈与時までに役員を退任
 ③贈与直前、贈与者および贈与者と同族関係等にある者で総議決権数の過半数を保有し、かつ後継者を除いたこれらの中で筆頭株主だったこと
が主な要件です。

・先代経営者の役員退任要件は、贈与後に「まだまだひよっ子に任せられない」という場合には厳しく感じられることでしょう。しかし先代が戻っては事業承継が進んだとはいえません。
・そこで、先代経営者が贈与後に役員復帰した場合でも、会社から給与を受けないのであれば、要件抵触にはならず、納税猶予が続きます。

・ただし、平成22年年度税制改正で、先代の役員復帰の場合に受けてはならない「給与」「債務の免除による利益その他の経済的な利益を含む」が追加されました。
・「会社によっては、役員に対し『給与』以外の名目で出されるものもある」(税務当局)というのが実情です。明確化することでより「無償での復帰」という条件を徹底するというわけです。

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相続放棄 死亡保険金は遺贈に


・親が亡くなって葬儀などの諸手続きを終え、いざ遺産分割という段階になって、亡くなった親に莫大(ばくだい)な借金があることが発覚。不動産や保険証券、預貯金などの遺産分割協議のことばかり頭にあった相続人たちがにわかに慌てはじめる――。皮肉な笑い話のようですが、これは現実によくある話です。

・相続によって引き継がれるのはプラスの財産ばかりとは限りません。被相続人に借金があれば、その「マイナスの財産」も相続財産に含まれることになります。親の借金など引き継ぎたくない、と思ってしまうのは無理もありませんが、こればかりはどうしようもありません。
・しかし、マイナスの財産がプラスの財産の額を上回っているなど、どう考えても単純相続することが不利であるような場合には「相続放棄」という方法があります。
・相続放棄は、文字通り法的に相続を放棄すること。相続開始を知った日から3ヶ月以内家庭裁判所に相続放棄の申述を行えば、はじめから相続人でなかったものとみなされます。

・ここで気になるのが、被保険者が保険料を負担していた生命保険金や死亡退職金などを、相続放棄した者が受け取った場合の取扱いです。相続放棄した者でもこれらの財産を受け取ることができますが、この場合「遺贈」により取得したものとみなされ、相続税が課税されます。
・遺贈により財産を受け取った場合でも、相続税計算に際して基礎控除や配偶者の相続税軽減などは適用されますが、生命保険金および退職手当金にかかる非課税金額、債務控除などは適用できないので注意が必要です。