・国税庁が国税電子申告・納税システム(e-Tax)の利用件数を更新しています。それによると、平成19年度のe-Tax利用数は577万576件で、平成18年度の105万7153件から約5.5倍も増えています。
・電子政府に向けた国税庁のオンラインの行動計画によると、平成20年度のe-Tax利用件数の目標は213万1700件でしたから、その目標を約2.7倍も上回ったことになります。なお、577万576件という利用件数は、全対象手続きの約20%強という計算になります。
・特に伸びが目立つのが「所得税」で、平成18年度の49万584件に対し、平成19年度は363万3890件(前年度比740.7%)と猛烈な伸びを見せています。月別の利用者数を見ると、3月の1ヶ月だけで約213万件の納税者が所得税の確定申告をe-Taxで行ったようです。
・そのほか、「申請・届出等」11万2007件(同537.8%)、「法人税」51万626件(同506.3%)、消費税(法人)58万928件(同495.7%)、印紙税2万9473件(421.0%)なども大きく伸びました。この結果を見ると、法人、個人に関わらずe-Taxの利用件数が伸びており、いよいよe-Taxも本格的に普及し始めたという感じがします。
・離婚時の厚生年金の分割制度は、離婚の当事者間の合意や裁判手続きにより「婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録」の按分割合を定めて、離婚の当事者間で分割できるとされていましたが、4月1日からは、厚生年金保険料記録(第3号被保険者)について、自動的に2分の1に分割できるようになりました。
・熟年離婚が増加するなか、この分割制度への注目が高まっていますが、それと相まって離婚に伴い分割した厚生年金に対しての税務上の取扱にも関心が高まっています。というのも、離婚相手にとっては一定の年金収入を獲得することになるわけで、そうなると離婚した相手に対する税務上の「贈与」に該当しないかと考える納税者が少なくないためです。
・一般的に、離婚時の厚生年金の分割について国税当局は「贈与税は発生しない」としています。その理由としては、年金の分割にあたり、「当事者間の協議により分割割合が決定される」ことから、離婚時における通常の「財産分与」と同様のケースと判断しているからです。財産分与とは、「夫婦が離婚したときに、相手方の請求に基づいて一方の人が財産を渡すこと」を指します。財産分与により離婚相手から財産を取得した場合は、一般的に贈与税がかかることはありません。これは、贈与を受けたのではなく、慰謝料などの財産分与請求権に基づき給付を受けたことになるためです。
・今年4月以降からの第3号被保険者期間に係る分割された年金についても「離婚した3号被保険者の固有の権利に基づくもの」として、やはり贈与税が発生しません。