・国税庁が「平成18事務年度における法人税の課税事績」を公表しました。
・同公表によると、平成19年6月末現在の法人数は300万5千件(前年比100.9%)。このうち、今年6月までの1年間(平成18事務年度)に法人税の申告を行った法人は276万7千件(申告割合89.9%)で、申告所得金額は57億828万円(前年比113.3%)でした。また、赤字申告をした法人の申告欠損額は16億4949万円で前年より27.4%減少しています。この結果、法人税の申告税額は前年に比べ14.8%(1兆8609億円)増の14億4578万円になっています。
・申告所得金額57億828万円は、バブル絶頂期だった平成2事務年度を超えて過去最高額です。ただ、平成2事務年度においては黒字申告をした法人の割合が約50%だったのに対し、平成18事務年度は同32.4%(前年比0.5%上昇)にとどまるなど、まだ多くの企業が苦しんでいる実態も表れているようです。
・また、同公表では、平成18事務年度に行われた法人税の実地調査の状況も明らかになっています。
・実地調査を受けた法人は、前年よりも2.4%多い14万7千件でした。前年比で15.4%も増えた平成17事務年度に比べると多少落ち着いた感はありますが、依然として実地調査を受ける法人数は増え続けています。このうち、更正・決定等の処分を受けた法人は10万4千件(構成比72.7%)で、不正計算を指摘された法人も2万9千件(同20.3%)ありました。申告漏れ所得金額は1兆7247億円で、追徴税額は4402億円、うち加算税は633億円に上ります。
・不正発見割合の高い業種では、ワースト1位からワースト3位までは昨年と同じく「バー・クラブ」52.0%、「パチンコ」49.1%、「廃棄物処理」35.3%でした。また、活発化している土地取引の影響からか、「建売、土地売買」26.1%が圏外からワースト9位に入っています。
・一方、1件当たりの不正脱漏所得金額が大きな業種では、「貿易」7921万円が昨年のワースト6位からワースト1位に、「電子機器製造」3926万円がワースト5位からワースト2位になったほか、「鉄鋼卸売」、「鉄鋼製造」、「廃棄物処理」、「情報サービス・興信所」が圏外からワースト10入りしました。
参考URL:平成18事務年度における法人税の課税事績について
・自民党税制調査会(津島雄二会長)が10月25日に会合を開き、来年度(平成20年度)税制改正についての論議に入りました。いよいよ、年末にまとめられる与党税制改正大綱に向けて、本格的な議論が開始されることになります。
・自民党税制調査会の会合に先立ち10月23日に行われた政府・与党の会合「安心できる社会保障・税制改革に関する政府・与党協議会」では、(1)平成20年度の予算編成、(2)平成21年度に国庫負担率が2分の1に引き上げられる基礎年金の財源問題、(3)平成23年度における基礎的財政収支の黒字化、(4)少子高齢化への対応の4点が議題として定められました。
・この協議会には自民党税制調査会の津島会長も参加しており、平成20年度税制改正においてもこの4つの議題が重要なテーマとなりそうです。
・そうなると、もっとも注目されるのが社会保障の財源の候補として検討される消費税の扱いです。現在、自民党では基礎年金の全額を消費税で賄う案が浮上してきており、その場合には消費税率を9%~11%まで引き上げなければならないそうです。また、医療・介護給付などの社会保障水準を維持しながら財政健全化を進めるには、最大17%程度の消費税率が必要という試算も出ています。
・しかし、消費税増税には民主党をはじめとして各野党が反対の意思を示しており、さらに自民党内部も必ずしも一本化されているわけではありません。
・そのほか、地域間格差の是正に向けた地方法人二税(法人事業税、法人住民税)の見直し、来年3月で期限の切れる証券税制の存廃、道路特定財源の見直し、中小企業の事業承継対策など、重要な改正項目が目白押しです。さらに、再来年度以降への繰越しが予想されている法人税率の引き下げや所得税の各種控除の見直しも決着が付いたわけではありません。
・衆参「ねじれ国会」と言われている現状において、税制改正についてどのような議論が展開されるのか、今年は例年以上に要注目です。
・財務省が「平成18年度 法人企業統計調査」の調査結果を公開しました。
・この調査は、金融・保険業を除く営利法人の決算データをもとに、売上や収益、付加価値、投資、資金事情などをとりまとめたものです。調査結果は四半期別、年次別に毎年公表されています。
・調査結果によると、平成18年度の法人の売上高は前年度比3.9%増の1556兆4329億円となり、伸び率こそ前年度の6.2%増には至らなかったものの、平成15年度から4年連続の前年度比増となり、過去最高の水準となりました。同時に経常利益も前年度比5.2%増と4年連続の前年度比増を記録しており、長期化する景気回復基調を背景に国内の法人が業績を伸ばしている様子が表われています。
・これを産業別に見ると、売上高では運輸業の前年度比17.4%を筆頭に、輸送用機械(同13.5%増)、卸売・小売業(同8.8%増)、鉄鋼業(同7.9%増)、情報通信機械(同7.4%増)といったところが大きく売上を伸ばしています。逆に売上減となったのは、サービス業(同10.4%減)、金属製品製造業(同4.1%減)、石油・石炭製造業(同3.7%減)、化学製造業(同2.8%減)などです。
・一方、経常利益では不動産業が前年度比48.5%もの増加を記録。そのほか情報通信機械(同43.1%増)、一般機械(同28.6%増)、運輸業(同21.7%増)、建設業(同16.9%増)などが大きく利益を伸ばし、サービス業(同16.2%減)、石油・石炭製造業(同13.6%減)、電気業(同12.0%減)などが大きく利益を減らしています。
・ただ、今回の調査結果でもっとも目を引くのは、調査対象企業273万5630法人のうち、156万4588法人と半数以上を占める資本金1000万円以下の中小法人の業績です。
・これらの企業の売上高は前年度に比べて14.6%も伸びているにも関わらず、経常利益は同25.9%も減少しています。景気の回復を背景に売上高こそ伸びているものの、石油、金属、紙など諸原料の値上がりに伴う売上原価の増加と、需要増などに伴う設備投資(前年度比81.9%増)の負担などが、中小法人の利益を大きく圧迫しているようです。。
参考URL 法人企業統計調査
・総務相の諮問機関「ふるさと納税研究会」が検討していた「ふるさと納税制度」について、最終報告書が公開されています。総務省ではこの報告書をもとに法案をとりまとめ、来年度税制改正での成立を目指すようです。
・まとめられた最終報告書によると、「ふるさと納税制度」の仕組みは、現在の寄附金税制を応用(改正)し、自治体に寄附をした場合に住民税から一定の税額控除が受けられるようにするというものです。
・なお、寄附の対象となる自治体の範囲については、「定義しても確認することが困難」などの理由により限定されないことになりました。
・今回公開された「ふるさと納税制度」を簡単にいうと、自治体に寄附した金額から5千円を差し引いた残りの額が、そのまま住民税と所得税から軽減される(住民税額の10%上限)制度です。
・具体的には、以下の計算式で算出した控除額を住民税所得割額から控除できる(住民税所得割額の10%上限)ことになります。
■控除額=[寄附金の額]-[適用下限額5千円]-[所得税寄附金控除における軽減税額]
・なお、この計算式における適用下限額5千円は、少額の寄附金に係る自治体の事務負担が考慮されるとともに、この下限額が無い場合ではケースによって寄附をした金額すべてが控除されることになり、寄附金に係る納税者の真剣さが損なわれる危険性があるとされたものです。また、住民税には都道府県民税と市町村民税がありますが、税率(都道府県民税4%、市町村民税6%)の比率に従ってそれぞれ税額控除されることになっています。
・ところで、この報告書においては、「ふるさと納税制度」の主な反対意見として挙げられている、税の「受益と負担」と「公平の原則」の問題にも触れています。
すなわち、「受益と負担」については、現在のように人の移動が頻繁な時代においては、生涯を通じた長い時間軸における「受益と負担」を検討する必要があるとし、これを同制度の有力な論拠としています。
また、「公平の原則」については、住民税額の減少がどの程度まで認容されるかという問題だとしています。この結果として、同制度における「住民税所得割額の10%」という上限額が設定されたということでしょう。。
参考URL:ふるさと納税研究会報告書(PDF)
・信金中央金庫総合研究所が「第129回全国中小企業景気動向調査」を公表しています。同調査は、今年の9月上旬に全国各地の信用金庫営業店の調査員が聴取り調査を行い、1万3946社の中小企業から回答を得たものです。
・同調査によると、今年7月から9月の業況判断指数(良い-悪い)は▲15.8で、同4月から6月の▲14.6よりも1.2ポイント悪化しています。昨年10月から12月までは上昇傾向にあった中小企業の業況指数が、今年になってやや下降傾向になっているのは気になるところです。ただ、今年10月から12月の予想業況判断は▲9.2とやや改善傾向にあり、中小企業の業況は良く言えば「一進一退」、悪く言えば「足踏み状態」という状況が続いているようです。
・ところで、同調査において「中小企業の事業承継について」という特別調査が実施されています。このところ注目を集めている中小企業の事業承継について、中小企業自身の認識や対応状況などを調査したものです。
・それによると、事業承継を「最優先の経営問題」とする回答が20%、「経営問題のひとつ」とする回答が59.6%でした。約8割の中小企業が事業承継を経営問題として捉えていることになります。
・ところが、実際の対応状況を見ると、「対応できている」企業は24.7%で、「現在、対応を進めている」企業の23.5%と合わせて、対応が完了または進行している企業は半数に達していません。
・ただ、実際に対応が進められていない企業でも、「今後、対応予定」の企業が27.3%、「対応したいが方法が分からない」企業が2.8%と、対応に前向きな企業も約3割あり、まったく「対応していない」企業は約2割でした。
・少なくとも同調査においては、事業承継を経営問題として捉えている企業は多いものの、実際に対応できていない中小企業も多いという状況が明らかになったといえるでしょう。
・ちなみに、「事業承継しようとする際の問題」についての回答では、「事業の将来性」がもっとも多く65.5%、次いで「後継者の力量」54.3%、「取引先との信頼関係の維持」43.5%の順でした。
・平成18年分の所得税の確定申告書の受付は、2月16日から3月15日までです。期限ギリギリになると、税務署が混雑しますので、自分で申告する場合は早めに申告をすませましょう。
・なお、サラリーマンの場合は、毎月の給与や賞与から所得税が源泉徴収され、12月の年末調整でその年の所得税額が決まります。つまり、所得税の計算から 納税までを会社が代行してくれるので、大半のサラリーマンは確定申告が必要ありません。しかし、以下の控除を受けられる場合は、確定申告することで税金が 還付されることがあります。
■住宅ローン控除
マイホームの取得やリフォームをするために借りた住宅ローンの残高がある場合
※2年目以降は年末調整の対象になります。
■医療費控除
多額(通常10万円以上)の医療費を支払った場合
■寄附金控除
国、地方公共団体、特定公益増進法人に特定の寄附をした場合
■配当控除
配当所得がある場合
■雑損控除
災害や盗難などで資産に損害を受けた場合
■特定支出控除
仕事のための資格取得費用など、特定の支出がある場合
■その他
年の中途で退職して、再就職をしていない場合
・申告書の提出先は住所地の税務署です(事業者の場合、届出をすれば事業所所在地の税務署でも可)。土日、祝日は税務署の閉庁日ですが、郵送や信 書便(宅急便不可)で送付もできますし、税務署に備え付けの時間外収受箱に投函する方法もあります。電子申告を利用すれば、確定申告期間は24時間受け付 けてくれます。
・また、2月18日(日)と25日(日)に限り、税務署や合同センターで申告書を受け付ける税務署も多いようです。詳しくは最寄りの税務署に確認してみてください。最近は、税務署職員もかなり親切丁寧に対応してくれるようです。
・8月1日、国税庁が平成19年分の路線価を公表しました。今年(平成19年)に発生した相続、贈与については、この路線価を利用して相続等財産(土地)の価額を計算することになります。
・路線価は、国土交通省が毎年3月に公示するその年の1月1日現在の土地価格(公示地価)をベースに、売買実例価額、不動産鑑定士等による鑑定評価額、精通者意見価格等を基として算定されています。おおむね公示地価の8割が路線価の基準と言われており、路線価公表前に発生した相続については、公示地価を利用して相続税の概算計算をすることもあります。
・今回公表された路線価では、今年1月1日現在の地価公示で全国平均の地価が16年ぶりに上昇したことを受けて、標準宅地(全国41万地点)の平均額が1平方メートル当たり12万6000円と、14年ぶりに上昇(上昇率0.9%)に転じた前年よりもさらに1万円(同8.6%)上昇しました。
・標準宅地の平均額を都道府県別に見ると、地価の上昇したところが昨年の5都府県から大きく増えて12都道府県になりました。もっとも上昇したのは東京都(上昇率17.1%)で、次いで愛知県(同10.0%)、大阪府(同9.6%)、京都府(同7.0%)の順。地方圏でも札幌市や仙台市、福岡市といった中核都市を持つ北海道(同4.8%)、宮城(同6.8%)、福岡(同6.1%)の地価が上昇しています。
・逆に地価がいまだ下落傾向にあるのは31県。もっとも下落率が大きいのは秋田県(下落率7.9%)で、次いで徳島県(同6.1%)、香川県(同5.7%)、富山県(同5.4%)の順。ただし、これらの地域でも下落率は縮小しています。
・ちなみに、路線価の全国トップは、22年連続で東京都の銀座5丁目の文具店「鳩居堂」前で、1平方メートル当たり2496万円(上昇率33.3%)でした。また、上昇率が最も高かったのは、大阪市の御堂筋で上昇率は40.3%でした。
・なお、路線価は毎年8月に公表されていますが、これは相続税の申告期限が「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内」となっているからです。たとえば、1月1日に死亡した方の相続税申告期限は10月1日で、この期限に間に合わせるために8月に路線価を発表しているのです。
参考URL 国税庁 財産評価基準書
・国税電子申告・納税システム(イータックス:e-TAX)は、その名の通り国税に関する申告・申請、および納税手続きをインターネットを利用して電子的に行うことができる仕組みです。とかく伸び悩んでいると揶揄されていたイータックスですが、このところの利用件数の伸びはなかなかのものです。
・イータックスのホームページに掲載されている「e-TAXの利用件数」によると、電子申告や電子申請などイータックスを利用したオンライン手続きについて、運用開始(平成15年)以来の累計利用件数が100万件を超えています。そのうち約93万件は平成18年度に利用されたもので、これは前年の平成17 年度に比べると約13.5倍もの伸びになります。特に所得税確定申告(前年度比31.8倍)、申請届出等(同40.1倍)の伸びは目覚ましいものがあります。
・また、納税手続きについても、前年比4.1倍と電子申告や電子申請ほどではありませんが着実に伸びています。
・イータックスの納税手続きは、ペイジー(Pay-easy:税金・各種料金払込みサービス)に対応した金融機関(銀行、郵便局、信用金庫、農協など)のATM、インターネットバンキング、モバイルバンキングを利用して税金を支払う仕組みです。インターネットバンキング、モバイルバンキングを利用すれば、金融機関まで行かなくてもパソコンや携帯電話を使って納税できるのです。さらにペイジーを利用すれば、公共料金、携帯電話料金、自動車税、国民年金保険料やインターネットショッピングの購入代金なども支払うことができます。
・日本銀行が4月16日に公表した「国庫金電子収納事務取扱金融機関一覧」によると、日本銀行が国庫金電子納付を委嘱している代理店・歳入代理店401金融機関のうち、約94%にあたる378金融機関がすでにペイジーに対応しているそうです。納税手続きに対応したATM、インターネットバンキング、モバイルバンキングの各対応については金融機関によって異なるようなので確認が必要ですが、まさに全国いつでもどこからでも納税できる仕組みが既に整っているといってもいいでしょう。
・イータックスの利用者が伸びていることの一因には、こうした環境整備にもあります。
・国土交通省が2007年1月1日現在の公示地価を発表しました。それによると、三大都市圏と地方ブロック都市中心に地価が上昇したことから、全国平均で住宅地が0.1%、商業地が2.3%上昇しています。住宅地と商業地が揃って上昇したのは1991年以来16年振りのことです。
・公示地価は、その年の1月1日時点の地価を不動産鑑定士などの専門家が調査し、国土交通省がまとめたもの。土地取引の目安となるほか、路線価や固定資産税評価額など税金を計算する基準値の指標にもなっています。
・上昇が目立つのは、やはり東京、大阪、名古屋の3大都市圏で、住宅地が2.8%、商業地が8.9%上昇しています。また、住宅地4ヶ所、商業地10ヶ所において、前年比で40%を超える上昇率を示しています。
・さらに、福岡市や札幌市でもマンション需要などの高まりによって、30%以上の地価上昇を示した地点が見受けられるなど、一部の地域では急激な地価高騰が生じているようです。
・これを「ミニバブル」と評する報道があります。確かにこの急激な地価高騰の要因の一つは、地価上昇を見込んだ「投資マネー」が不動産市場に流入しているためだと言われています。不動産投資信託や私募ファンドなどが数十パーセントという高い投資効率に惹かれて資金を積極的に投下しているようなのです。ただ、地価が急激に上昇しているのは一部地域に限られ、最も地価上昇が著しい東京でもその水準はバブル期以前の1980年代前半並みです。この傾向が続くのかどうか、全国に広がるのかどうかはまだ未知数とする声が多いのも確かです。
・なお、都道府県別でも住宅地で9都府県、商業地で11都道府県の平均地価が上昇するなど、土地の下落傾向は確実に改善されてきています。しかし、3大都市圏を除く地方圏では下落幅こそ3年連続で縮小しているものの、住宅地、商業地とも15年連続の下落となりました。地価の地域格差はますます広がりつつあるようです
・総務省はこのほど、全市町村(1817市町村)の約80%にあたる1464市町村において、平成19年度の固定資産税評価額を修正する予定であることを明らかにしました。
・通常、固定資産税は3年ごとに評価替えが行われます。前回の見直し(基準年度)が昨年だったため、本来であれば次の評価替えは平成21年度に行われるはずでした。
・しかし、昨年度の税制改正において、評価替え以外の年度でも地価の下落がみられる地域については、宅地に限って固定資産税評価額を修正できることになりました。
・固定資産税評価額は、前年の1月1日時点の公示地価(国交省公示)の7割を目途に評価が行われます。つまり、平成18年度の評価替えは平成17年1月1日時点の公示地価を基に計算されています。しかし、その後に公表された平成17年7月1日時点の基準地価(都道府県調査)、および平成18年7月1日時点の基準地価が共に下落傾向であったため、平成19年度も評価替えが行われることになったのです。
・なお、都道府県別に評価変動割合を見ると、東京都だけがほぼ前年度と同水準(▲0.0%)で、次いで変動が少ないのが大阪府と鹿児島県で▲0.4%となっています。逆に変動が大きいのは徳島県の▲6.4%を筆頭に、香川県の▲5.9%、山形県の▲5.3%、秋田県の▲5.0%の順。全国平均は ▲1.7%でした。
・現在、タレントのベッキーさんを起用した国税電子申告・納税システム(eTAX)のテレビコマーシャルが頻繁に流されています。また、各地の税務署などで有名人や地元の名士などが電子申告する姿がテレビや新聞で報じられるなど、電子申告に対する国税当局の力の入れようは昨年までの比ではありません。
・こうした活動は実も結んでいるようで、2月9日現在の「電子申告開始届出書」の提出件数は、3ケ月前(昨年11月時点)の27万7030件の3倍弱に当たる91万8335件まで増えています。
・つまり、たった3ヶ月で64万件もの個人と法人が「電子申告開始届出書」を提出したことになります。さらに、現時点でも今年の所得税確定申告を目的に届出件数が増えていることは確実で、3月中に届出件数が100万件を超えるのは間違いありません。
・そうなると、次に注目されるのは実際に電子申告をする人がどれほどいるかということです。というのも、「電子申告開始届出書」を提出しても、必ず電子申告しなければならないというわけではありません。届出だけ出して実際は紙の申告書を提出する人も実はたくさんいます。ちなみに昨年3月時点の個人の届出件数11万件に対し、実際に所得税申告を電子申告で行ったのは3万4842件でした。
・しかし、ある財務システム会社のサポートデスクの方に聞いたところ、今年は例年よりもはるかに電子申告に関する問い合わせが多いそうです。具体的には、既に2月初旬から初期設定や初期登録に関する問い合わせが始まり、2月16日以降は申告データ送信作業から申告済みデータの確認方法まで問い合わせ内容がシフトしているとのことです。
・平成19年度税制改正法案が国会に提出され、衆議院での審議が開始されています。
正確には「所得税法等の一部を改正する法律案」が2月2日に、「地方税法の一部を改正する法律案」が2月6日に国会に提出されています。なお、「所得税法等の一部を改正する法律案」は、法人税や所得税、相続税など、国税に関わるさまざまな税法の改正をまとめたものです。
・平成19年度税制改正では、減価償却制度の抜本的見直しをはじめ、留保金課税の見直し、特殊支配同族会社の役員給与損金不算入制度、エンジェル税制、事業承継税制など、さまざまな企業関連税制が見直されています。また、個人関連税制でも住宅ローン控除の特例やバリアフリー改修促進税制の創設、寄附金控除の見直し、電子申告控除など、やや小粒ながらも改正項目は多岐に及んでいます。
・ただ、今回の改正法案を見ると、改正される税制には不明確な点も多くあります。たとえば、減価償却制度においては既に残存価額まで償却された設備の償却法や建物に対する償却法が不明確ですし、留保金課税についても適用開始日や判断基準となる資本金(出資金)の判定日が明らかになっていません。さらに、リース会計基準変更に伴う改正でも、適用基準に曖昧な部分が見受けられるようです。
・このあたりは、今後の政省令やその後の通達で明らかになっていくと思われますが、適用範囲が広い改正内容が多いだけに、しばらくは改正情報等に注意しておく必要があるでしょう。
・平成19年度税制改正については、要綱案が閣議決定され、国会での審議・決定を待つだけになりました。平成19年度税制改正は、久しぶりに減税色が強い改正内容になっています。
・財務省が試算した増減税の見込み額によると、平成18年度は国、地方合わせて4442億円の減税。すべての改正が適用された時点での1年間(平年度)の減税額は8712億円となっています。なお、平年度の減税額のうち、国税分は6190億円、地方税分は2522億円です。
・平年度ベースで、特に減税額が大きいのが減価償却制度の見直しに関する減税です。平成 19年度税制改正では、企業が設備投資等をした場合に減価償却費として損金計上できる額が増えます。その結果、企業の課税所得は減少し、法人税や法人事業税等が減税となるわけですが、その減税額は国と地方合わせて7455億円にも上り、全体の減税額の大半を占めています。
・それに次ぐのが、住宅ローン減税の特例創設で減税額は620億円(国税)。これは、平成18年度税制改正で国から地方へ税源委譲されたことに伴い、住宅ローン減税の減税幅が小さくなることへの対応策として、平成19年度税制改正で創設された特例措置の効果です。
・その他、同族会社の留保金課税制度の見直しが270億円(国税)、特殊支配同族会社の役員給与損金不算入制度の見直しが130億円(同)の減税額となっています。
・つまり、減税色が強いといっても、その大半は企業減税で、さらにその大半が設備投資の大きな企業(ほとんどが大企業)に対する減税ということになるわけです。
・会社員の場合、年末年始になると、「扶養(ふよう)」という言葉を聞いたり、見たりする機会が多くなります。それは、年末調整用の資料である「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」や「給与所得者の扶養控除等申告書」で、扶養親族に関する記載をすることになるからです。
・ところで、この年末調整における「扶養親族」と健康保険の「被扶養者」を混同する人がいます。「扶養親族」と「被扶養者」では、対象となる親族の範囲や収入(所得)に関する基準が違うので注意してください。
・年末調整などで使われる扶養親族は、所得税法に規定されています。その条件は、その年の12月31日時点で次の条件のすべてに該当することです。扶養親族がいれば、扶養控除や配偶者控除を受けることができます。
1.6親等内の血族及び3親等内の姻族
※内縁は考慮されません
2.納税者と生計を一にしていること
3.年間の合計所得金額が38万円以下
4.青色申告者の事業専従者として給与の支払を受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと
・一方、健康保険の被扶養者は、健康保険法に規定されています。その条件は、以下の1、又は2に該当する一定の親族で、年収130万円未満(障害者や60歳以上は180万円未満)、かつ被保険者の年収の概ね2分の1未満であることです(政府管掌健康保険の場合)。
1.被保険者の直系親族、配偶者、子、孫、弟妹で、主に被保険者の収入で生計を維持する者
2.被保険者の三親等内の親族(1の者以外)で、被保険者と同居し、主に被保険者の収入で生計を維持する者
※内縁も考慮されます
・被扶養者と認定されれば、健康保険の諸制度を利用できますし、配偶者の場合は年金の第3号被保険者にもなれます。
・経営者の家族従業員に支払われた給与は、通常は必要経費として認められません。しかし、以下のすべての要件を満たす場合には必要経費にできる特例があり、その特例のことを青色事業者専従者給与といいます。
①経営者と生計を一にする15歳以上の親族で、
②年間6ヶ月以上、その事業に専ら従事しているものに対する給与
③「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出
④労務の対価として適正な給与
ただし、青色事業者専従者給与は税務署から否認されるケースも多いので注意が必要です。
たとえば、「年間6ヶ月以上、その事業に専ら従事」という要件がありますが、これは6ヶ月以上その事業に従事していれば良いというわけではありません。問題になるのは「専ら(もっぱら)」の解釈で、税務署から否認される可能性があるのは以下のようなケースです。
■他の仕事に6ヶ月以上従事していた場合
他の仕事に従事していた以上、「専ら従事」することはできないということです。
■業務実態が「専ら従事」する必要が無いほど僅少であるとされる場合
1日2、3時間程度の従事実態の場合は、認められないケースが多いようです。
「労務の対価として適正な給与」というのも否認されやすい要件です。税務署は、よく「その仕事を別の人に頼んだら、その金額を支払いますか?」と聞いてきます。家族だからといって特別扱いは許されず、家族に職歴や技能があっても、仕事内容に照らして適正でなければ否認されるケースがあるのです。
また、実際に支払われていない専従者給与は必要経費にできません。資金繰りが苦しくて、給与を未払いにしたような場合は、たとえ翌年にその給与を支払っても必要経費として認められない場合があります。
・国税庁が「役員給与に関する質疑応答事例」を公開しました。
掲載内容は以下の通りです。
■定期同額給与
・定期給与の額を改定した場合の損金不算入額
・役員員の分掌変更に伴う増額改定
・一定定期間の減額
・合併に伴う定期給与の増額
・分割に伴う定期給与の減額
・役員に対する歩合給
■事前確定届出給与
・定めどおりに支給されたかどうかの判定
・職務執行期間の中途で支給した事前確定届出給与
・これまでより具体的な取り扱いについて触れられていますので、内容を確認しておいた方が良いでしょう。
・たとえば、定期同額給与について「事業年度の中途(会計期間3月経過日以後)の増額改定が行われた場合であって、増額後の各支給時期における支給額も同額であるようなとき」は、役員給与全額ではなく上乗せ部分だけが損金不算入になると「考えられる」ということです。
・また、同様のケースで「減額改定」の場合は、減額改定後の役員給与が定期同額給与とみなされ、減額改定前の上乗せ部分が損金不算入になるようです。
・その他、定期同額給与については、経営者の急逝など「やむを得ない事情」で役員としての職務内容や地位が激変したことにより、役員給与が増額改定された場合は増額前、増額後の役員給与とも定期同額給与として認めること。また、不祥事等により一時的に減額された役員給与については、社会通念上相当のものであると認められる場合は、減額前と同額の定期同額給与が引き続き支給が行われているものとして取り扱って差し支えないことなども記載されています。
・なお、事前確定届出給与については、資金繰り等の事情で事前確定届出給与が支払われなかった場合などについて説明されています。
参考URL 役員給与にかかる質疑応答事例
・与党(自民党、公明党)が平成19年度税制改正大綱を決定しました。
見送りかとも言われていた証券優遇税制(上場株式の譲渡益と配当に対する軽減税率)については、1年延長した上で廃止することが明記されました。
・また、企業関連税制においては、減価償却制度の残存価額および償却可能限度額の撤廃、中小企業を留保金課税の対象から除外する改正のほか、「特殊同族会社の役員給与の損金不算入」制度について適用除外となる基準所得を現行の800万円から1600万円に引き上げることも盛り込まれています(平成19年4月1日以後に開始する事業年度から)。
・また、中小企業の事業承継税制やエンジェル税制、個人の住宅税制(バリアフリー税制)などにも減税項目が並んでおり、久々に減税色の強い税制改正になりそうです。
参考URL 平成19年度税制改正大綱
・平成19年度税制改正大綱において、国税電子申告・納税システム(e-TAX)を推進するために以下のような改正案が盛り込まれています。
①電子政府推進税制の創設
②電子申告における第三者作成書類の添付省略
③源泉徴収票の電子交付の対象書類の追加
④源泉徴収関係書類の電子提出
⑤電子署名の省略
⑥電子申請等証明制度の創設
特に注目されるのは、①電子政府推進税制の創設、②電子申告における第三者作成書類の添付省略、⑤電子署名の省略です。
・これらの措置は利用件数が伸び悩むe-TAXの利用率増大が目的ですが、利用件数が伸び悩んでいる主な理由として以下の3点がよく挙げられていました。
(1).納税者メリットが無い
(2).税務署への添付書類(医療費の領収書など)提出が二度手間
(3).電子証明書取得の手間と費用が問題
・「電子政府推進税制の創設」は、「電子証明書を取得した個人」が「平成19年分または平成20年分の所得税の申告をe-TAXを利用して行った場合」に、どちらか一方の年分の所得税額から5000円を控除できる仕組みです。
・また、「電子申告における第三者作成書類の添付省略」は、医療費の領収書や社会保険料控除の明細書などの添付書類について、e-TAXを利用して申告した場合に限り税務署への提出が免除される仕組みです。ただし、3年間は税務署から当該書類の確認を求られる可能性があります。
・そして、「電子署名の省略」は、税理士関与での申告など一定の要件を満たしている場合に、納税者本人の電子署名が必要なくなる仕組みです。
・これらの措置により、e-TAXが「伸び悩んでいる主な理由」に一応の手当がされることになりました。
・最近2007年問題がよく話題になりますが、これは団塊世代が2007年に定年(60歳)を迎え大量退職することで発生する諸問題のことです。改正高年齢者雇用安定法によって定年後も働ける環境づくりが会社に求められていますが、定年を機に退職する社員も多いと思われます。
・また、定年退職する人の中には役員もいます。長年、会社のために尽くしてくれた役員ですから、より多くの退職金を支払いたいと考える経営者は少なくありません。
・税務上、役員退職金を支払うと以下のメリットがあります。
■過大でない限り会社の損金にできる(節税になる)。
■役員は比較的に税負担の軽い退職金扱いで収入を得ることができる。
また、死亡退職金の場合には以下のメリットもあります。
■遺族は500万円×法定相続人数まで税負担なしで受け取れる。
■一定の条件において株の評価額が下がるため、自社株の相続が発生する場合は相続税が安くなる。
・役員退職金の額は、定款または株主総会で決めることになっています。一般的には株主総会または株主総会の一任を受けた取締役会で決議するケースが多いでしょう。しかし、決議さえすればいくらでもいいというわけではありません。役員退職金の額が適正ではない(過大)と判定された場合、その過大分は会社の損金にすることができないのです。
・一般的に適正な退職金の額は、最終報酬月額×在任年数×功績倍率(3倍程度)が目安とされ、それに同規模他社の功績倍率、退職に至った事情、在任中の功績等を勘案して判定されます。あらかじめ、これらの適正な基準を決めた役員退職金規程を作成しておけば、問題が発生する可能性が低くなります。
・このほど発表された「基準地価」で、三大都市圏(東京、大阪、名古屋)の住宅地と商業地が16年振りにそろって上昇に転じたことが話題になっています。また、全国平均でも下げ幅が3年連続で縮小しており、土地価格の下げ止まりは一層顕著になっているようです。
・ところで地価といえば、8月1日に国税庁が路線価を発表したばかり。また、土地の価格を表す公的指標には他にも国土交通省の公示地価や市町村が定める固定資産税評価額などがあります。どこが違うのでしょうか?
◆公示地価
・毎年1月1日時点の土地価格を国土交通省が調査したもの。全国の都市計画区域を対象に、約3万地点を不動産鑑定士に鑑定させた上で地価を決定しています。主に土地の取引価格の目安として利用されていますが、他の地価指標の基準にもなっています。
◆基準地価
・毎年7月1日時点の土地の価格を都道府県が調査したもの。公示価格とは異なり、都市計画区域外の住宅地、商業地、工業地なども対象になっています。主に土地の取引価格の目安として利用されています。
◆路線価
・相続税、贈与税の対象となる土地の価格を国税庁が決めたもの。公示地価の8割といわれています。基準日は1月1日で見直しは毎年。税額計算などに使用します。評価倍率表が添付されるのが特徴ですが、これは地価(路線価)が定められていない地域について、固定資産評価額に地域ごとの倍率を掛けて地価を計算できるものです。
◆固定資産評価額
・固定資産税、都市計画税、登録免許税、不動産取得税の対象となる土地や建物の価格を市町村が決めたもの。公示地価の7割といわれています。基準日は前年の1月1日で見直しは3年に一度。税額計算などに使用します。
参考URL 平成18年都道府県地価調査
・平成18年度税制改正において、日本の企業の大半を占める「同族会社」の判定基準が見直されています。従来の「株式の50%超を3人以下の株主等で占めている場合」という判定基準に、「特定の議決権の50%超を3人以下の株主等で占めている場合」という基準が加わったのです。
・「特定の議決権」とは、具体的には「組織再編関係の営業譲渡権」「役員の選解任権」「役員報酬の決定権」「剰余金や利益の分配権」を指し、どれか一つでも3人以下の株主等で50%超を占めている場合には、同族会社と判定されることになります。
・5月に施行された会社法においては、多様な議決権等を株式に付与したり、制限することができるようになりました(種類株といいます)。しかし、そうなると、議決権のない株式を大量に発行して現在の経営陣の株式保有割合を引き下げ、同族会社の判定を回避できるようになります。そこで、今回の改正では、実質的に経営の実態を握ると思われる議決権を判定基準に加えることにしたのです。これまでの株式による判定が形式基準だったとすれば、今回加えられた議決権による判定は実質基準といえるでしょう。実務的には、種類株を発行している場合、その明細を申告時に添付することになります。
・また、今回の改正においては、「特定同族会社」および「特殊支配同族会社」という新しい税務用語が生まれています。「特定同族会社」は留保金課税の対象となる同族会社、「特殊支配同族会社」とは、いわゆるオーナー給与の一部損金不算入の対象となる同族会社のことをいいます。
・会社が「同族会社」「特定同族会社」「特殊支配同族会社」にあたるかどうかは、税務上、非常に重要な意味を持ちますので、事前のチェックが必要です。